他のFIREに比べて達成しやすく、自分で事業ができなくても実現可能なのがバリスタFIREの魅力!
FIRE(経済的自立&早期退職)にはいくつか種類があります。
代表的なものが次の4つです。
- ファットFIRE(Fat FIRE)
- リーンFIRE(Lean FIRE)
- サイドFIRE(Side FIRE)
- バリスタFIRE(Barista FIRE)
今回は4番目のバリスタFIREの話です。
ちなみに私自身は自分で「事業」を行っているので3番目の「サイドFIRE」を実践しています。
関連>>【達成しやすく、環境変化に対応しやすい】私がサイドFIREをおすすめする5つの理由
しかし
自分で事業をするなんて難しいな…
という人にとっては、サイドFIREは選択肢になりません。
そんなときに選択肢になるのが「バリスタFIRE」です。

「自分で事業をやって稼ぐのは難しい」
「雇われても好きな仕事ができるなら問題ない」
という人のため、今回の記事は、バリスタFIREのメリットを5つ紹介します。
<バリスタFIRE 5つのメリット>
- 必要な資産所得を少なくすることができるから
- 早く退職できて自由な時間を持てるから
- 収入源を投資に一極集中しなくてすむから
- 税金・社会保険の改悪リスクに対応できるから
- 働くことで社会とのつながり、やりがいを感じられるから
実はこれ、「サイドFIREをおすすめする5つの理由」と基本的に同じです。
違いは「ゆとり費」を稼ぐための手段です。
- サイドFIRE:自営業(事業所得)
- バリスタFIRE:パート・アルバイト(給与所得)
理由1:必要な資産所得を少なくすることができる
FIREは、会社を早期退職して「資産所得だけ」で生きていく方法です。
資産所得だけ生活するのに必要な資産は?
例えば株式の配当金(税引き後の利回り4%)の場合、生活費に応じて次の資産が必要になります。
「生活費(左)」と「必要な資産(右)」の関係は次の通りです。
- 年240万円(月20万円)→6,000万円
- 年360万円(月30万円)→9,000万円
- 年480万円(月40万円)→1億2,000万円
- 年600万円(月50万円)→1億5,000万円
資産所得だけで生活しようとすると、人によってはこれだけの資産を用意する前に会社で定年を迎えるかもしれません。。。
基礎生活費とゆとり費に分けて考える
ここで重要になるのが「基礎生活費」と「ゆとり費」という考え方です。

- 基礎生活費:生きていくために最低限必要なコスト(住居費、水道光熱費、食費、日用品費など)
- ゆとり費:なくても生きていけるけど、あると生活に豊かさを感じるもの(外食代、趣味娯楽費、美容代など人によって異なる)
※「基礎生活費」と「ゆとり費」の考え方については、こびと株さんの記事を参考にしています。
参考:【自由への家計簿】経済的自由の6つのレベルと、セミリタイアのための家計管理について
ファットFIRE
最初に紹介したFIREの種類のうち「ファットFIRE」は次のように考えられます。

- 基礎生活費:資産所得で稼ぐ
- ゆとり費:資産所得で稼ぐ
これが理想の状態ですが、資産がたくさん必要なので、人によっては現実的ではないFIREになってしまいます。
リーンFIRE
ファットFIREの「必要な資産が多すぎてムリゲー」問題を解決してくれるのが「リーンFIRE」です。

- 基礎生活費:資産所得で稼ぐ
- ゆとり費:なし
ファットFIREと違って必要な資産が少ないので現実的で達成している人が多いです。
例えば生活費のうち「基礎生活費」が半分だとすると、「基礎生活費(左)」と「必要な資産(右)」の関係は次の通りです。
- 年120万円(月10万円)→3,000万円
- 年180万円(月15万円)→4,500万円
- 年240万円(月20万円)→6,000万円
- 年300万円(月25万円)→7,500万円
先ほどに比べると、現実的な金額になってきましたね。
一方、「ゆとり費」がないので、ゆとり費をじゃぶじゃぶ使いたい人からすれば「そんなに節約してどうするの?」とFIRE批判でよく見る光景です。
しかしリーンFIREをする方は「お金のゆとり」よりも「時間のゆとり」を大切にしています。
自分の価値観に合っていれば、周囲の雑音に惑わされることなく、自分の時間や家族との時間を楽しむことができるでしょう。
バリスタFIRE
さて、次は「リーンFIRE」の「ゆとり費がない」という問題点を解決するのが、「バリスタFIRE」です。
「バリスタって、コーヒー屋さんと関係あるの?」
そうです、あのバリスタです。
FIREの本家のアメリカは国民皆保険ではないので「無保険」になります。
そこで健康保険の加入目的でパートタイマーとして働く「バリスタFIRE」というライフスタイルが登場しました。
スターバックスのようなカフェで好きなように働きながらFIREをするわけです。
日本は早期退職をしても国民健康保険に加入できるので、アメリカの無保険とは前提が違います。
ただ、後で紹介するように「社会保険適用拡大」でパートとして健康保険・厚生年金保険に加入して保障を手厚くすることも可能です。

- 基礎生活費:資産所得で稼ぐ
- ゆとり費:自分の好きな仕事でパート・アルバイト労働
のハイブリッドです。
ちなみにサイドFIREはパートタイマーではなく、自分の事業で稼ぎます。

- 基礎生活費:資産所得で稼ぐ
- ゆとり費:自分の好き・得意・趣味を活かした稼ぎ方で稼ぐ
のハイブリッドです。
ファットFIREとの違いは、資産所得で稼ぐのは基礎生活費だけなので、必要な資産額が少なくて済む点です。
リーンFIREとの違いは、ゆとり費もちゃんとある点です。
「そんな節約生活をして何が楽しいんだ!」
というFIRE批判が来ても大丈夫、「ゆとり費」で豊かに暮らしています^^
「FIREなんてしてないで、もっと稼いで税金を払って、お金を使って経済を回せ!」
というFIRE批判が来ても大丈夫、自分で稼いで税金を払って、ゆとり費でお金を使ってちゃんと経済を回しています^^
ちなみにこういう批判をしている人ほど、たいして税金も払ってないし、お金を使っていなかったりする不思議。
もし、ゆとり費が稼げなくても基礎生活費の方は資産所得が稼いでいるので
「正社員に戻って働かないといけない」
といったことはありません。
理由2:早く退職できて自由な時間を持てるから
2つ目は、「早期退職」までの時間です。
ファットFIREは多くの資産が必要なのでそれだけ時間がかかります。
バリスタFIREの場合は、必要な資産が少ないので、必要な時間も少なくてすみます。
そもそも日本人がFIREに憧れるのは「FI(経済的自立)」の部分というよりも「RE(早期退職)」の部分ではないでしょうか。
「働きたくないでござる」というよりも
- 今の会社が嫌
- 満員電車で通勤するのが嫌
- 朝9時に出社するのが嫌
- 職場の人間関係が嫌
- 取引先が嫌
など「働き方」や「働く環境」に対してストレスを抱えていることが多いように感じます。
特に「正社員」という働き方は、時間的拘束を含めていろんな拘束を受けます。
そこでバリスタFIREで今の会社を早く退職して、自分の好きな仕事を選んで週2~3日、パートをするという働き方もできます。
理由3:収入源を株式投資に一極集中しなくてすむから
ファットFIREもリーンFIREも収入源が資産所得です。
特に株式投資がメインになるでしょう。
例えば
FIRE達成のためにコツコツ積み上げた時期がたまたま投資環境が良くて右肩上がり
↓
会社を辞めたとたんに暴落相場で、その後しばらく株価が上がらない
↓
この間に精神的に耐えられるか?
ということを考えた結果、少なくとも「私は耐えられない」と思いました。
そこで株式投資一極集中は考えませんでした。
投資環境については、私は専門家ではないので深追いしませんが、少なくともリスクをゼロにすることは不可能だということは知ってます。
コントロールできないことをどれだけ考えてもムダです。
だから、自分で稼ぐ部分を残すことで、最悪資産所得がゼロになっても
- 自営業で稼ぐことをメインにしたり
- 会社員に戻ったり
することができるように自分のスキルを磨いています。
自分の牙(スキル)をとぐのをやめないってことですね^^
また、相場が暴落していても、自分で稼ぐ部分があるので
「ちょっとゆとり費を削って投資に回そう」
という心のゆとりも生まれます。
ココロの安定、大事です。
理由4:税金・社会保険の改悪リスクに対応できるから
4つ目は国の制度の話です。
特に税金と社会保険ですね。
FIREをするときに
「今の税金・社会保険の制度」
を前提に考えていないでしょうか。
いずれも日本が少子高齢化で人口減少していくことが確定している以上、
「今の制度が何十年も続くと考えるのはダメ」
です。
税金
現在、配当金に対する税率は20%です(配当控除を使えばもっと下がる)。
それが税率30%になるような話が出てきたときに
「そんなバカな!ありえない!」
「やっぱりそういうことを言う人が出てきたか」
と、どういう反応をしたでしょうか。
前者は「今の制度が続く前提で考えている」
後者は「今の制度はいつか改悪されると考えている」
と異なります。
基本的にこれから起こることは「制度の改悪」です。
それが数年後に起こるのか、10年後、20年後に起こるかはわかりません。
実際に起こった時に
自分の収入源を簡単に組み替えられるかどうか
です。
理由3と重なりますが、自分で稼ぐ力を残しておけば、なんとでもなります。
社会保険
社会保険については、厚生労働省が「社会保険適用拡大」をすすめています。
ざっくり言えば、社会保険に入れるハードルがぐっと下がったのです。
次の図の条件を満たすと
- 健康保険
- 厚生年金保険
に加入することができます。

2022年10月から対象企業が従業員数101人以上に広がる点は大きいです。
早期退職をすると国民年金だけになって、将来もらえる年金が減るというのがデメリットの1つです。
しかし、週20時間以上のパート労働で厚生年金保険の対象になるので、将来もらえる年金が減るのをおさえることができます。
健康保険料も厚生年金保険料も労使折半(会社が半分負担)です。

他にも
- 障害厚生年金の上乗せ
- 遺族厚生年金の上乗せ
- 健康保険の傷病手当金
- 健康保険の出産手当金(女性の場合)
も充実します。

出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
雇用保険も入れますね。
社会保険適用拡大は、「会社員の扶養になっている人」にとっては扶養から外れてデメリットになる可能性があります。
一方、バリスタFIREをするときにはむしろ追い風になる制度変更です。
詳しくは次の記事もお読みください。
関連>>【バリスタFIRE】1番低い厚生年金保険料にすると国民年金の半額で年金が多くもらえる件
理由5:働くことで社会とのつながり、やりがいを感じられるから
実際にFIREをした方の中には
「暇で暇でしかたがない」
と言って、また仕事に戻るケースもあります。
働かない自由を手に入れるのがFIREなのに、また働くとは矛盾してるじゃないか、と思うかもしれません。
でも、FIREを達成するほど資産を築ける人は
- 高年収の会社員
- 事業家・起業家
とバリバリ仕事をしていた人なので、仕事の時間がガッツリなくなると「やることがなくて暇」というのも真実でしょう。
社会とのつながりが減る
また、実際に会社を辞めると
「会社を通じて社会とつながっていた」
ことに気づきます。
この点は、育児のために会社を辞めて
「赤ちゃんと1日過ごすだけで社会とつながっている気がしない」
という感覚と近いものがあります(自分も育児のために会社を辞めたときに思いました)。
やりがいも減る
また、「やりがい」というのも仕事をすることで感じやすいものです。
仕事というのは「誰かの悩みを解決してお金をもらうこと」なので、相手の役に立ちます。
目の前の人に「ありがとう」と言われます。
参考:【すべてのビジネスは悩み解決業】相手が「悩み」を勝手に話してくれる魔法の質問
株式投資はお金が振り込まれることはあっても、「ありがとう」と直接誰かから言われることはないので、人によっては「虚しい」と感じる場合もあるでしょう。
働くのは別に悪くない
もちろん、自由な時間の使い方は仕事だけではないので、趣味娯楽に使ったり、家族と過ごす時間に使ったりと人それぞれです。
ただ、バリスタFIREで自分の好きな仕事をすれば、引き続き、社会とつながりながら、やりがいを感じることができるのでおすすめです。
多くの人が嫌なのは、「働くことそのもの」ではなく、「働き方や働く環境」です。
だからFIREをした後に仕事を始めても、それは
「自分の嫌な働き方」
ではなく
「自分の好きな働き方」
をしています。
働くこと自体が娯楽の人は、働くことが幸せなのです。
完全にFIREしている方が「FIREの情報を発信」しているのも、社会的なつながりややりがいが生まれるからではないでしょうか(一部を除く)。
橘玲氏は『幸福の資本論』の中で、周りの人たちとの関係性から得られるものの重要性を「社会資本」と表現しています。
社会資本には、とても大切な役割があります。
それは、
「幸福」は社会資本からしか生まれない
ということです。
出典:橘玲『幸福の資本論』
もし
「どうしてお金はあるし、自由なのに、幸せに感じないんだろう」
と思ったら、この社会資本が不足しているのかもしれません。
自分の好きな働き方で、働いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、私がバリスタFIREをおすすめする理由を5つ紹介しました。
<バリスタFIRE 5つのメリット>
- 必要な資産所得を少なくすることができるから
- 早く退職できて自由な時間を持てるから
- 収入源を投資に一極集中しなくてすむから
- 税金・社会保険の改悪リスクに対応できるから
- 働くことで社会とのつながり、やりがいを感じられるから
もう一度確認すると、バリスタFIREは
- 基礎生活費:資産所得で稼ぐ
- ゆとり費:自分の好きな仕事でパート・アルバイト労働
というハイブリッドなFIREです。

- 必要な資産が少ないので他のFIREに比べて達成しやすく
- 自分で稼ぐ余地も残しているので環境が変化に対応しやすい
のがバリスタFIREの魅力だと考えます。
バリスタFIRE、いかがですか!
<今回紹介した本>
『幸福の資本論』では、次の3つをベースに「幸福に生きるための土台」の設計を提案しています。
- 自由のための「金融資産」
- 自己実現のための「人的資本」
- 幸福のための「社会資本」
FIREを考えるときは、この3つのバランスがとても大事です。
FIREは自由のための「金融資産」だけに目に行きがちですが、私たちは「人間」です。
自己実現のための「人的資本」と幸福のための「社会資本」も必須です。
バリスタFIREは、金融資産・人的資本・社会資本の3つのバランスが取れた方法と言えます。
サイドFIREも基本は同じです。
関連>>【達成しやすく、環境変化に対応しやすい】私がサイドFIREをおすすめする5つの理由