FIRE

【理想の生き方とは?】「日本人漁師」と「サイドFIREを目指すコンサルタント」の話

漁師とコンサルタント

ある日本の田舎町。

小さな船では、とても魚釣りが好きな30代の漁師が釣りをしていました。

漁師は好きな時間に起きて、釣りをして、妻や子どもと過ごしたり、仲の良い友だちと遊んで楽しく過ごしていました。

ある日、都会からやってきた30代のコンサルタントの男が、船からあがった漁師のそばにやってきて言いました。

男「こんにちは。大漁ですね^^」

漁師「ああ、どうも。お兄さん、見ない顔だね。都会の人?」

男「ちょっと出張で来たんですよ」

漁師「へえ、こんな田舎町に。でも、いい町だろう^^」

男「ええ、本当に素敵な町ですね」

腕時計

男「今日はどれくらいの時間、漁をしていたんですか?」

漁師「午前中だけだよ

男「午前中だけですか! 働くのはこれで終わりですか?」

漁師「そうだね。自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だ

男「午後からは、何をするんですか?」

漁師「子どもと遊んで、妻と昼寝して。夜になったら友だちと一杯やって、ギターを弾いて、歌を歌って寝るかな」

男「おお! いいですね。自分ものんびりしたいなあ」

漁師「今すぐやればいいじゃないか

漁師のその言葉に、男は苦笑いをしました。

男「・・・いや、ほんとそうですよね」

男「毎日朝9時から夜9時まで働いて、土日も家で仕事して、自分は何をやってるんだろうなあって」

漁師「まあ、難しいことはよくわからないけど、都会の人はよく働くねえ」

男「・・・ただ自分、ずっとサラリーマンやっているから臆病なんですよ。会社を辞めてやっていけるのかなって」

漁師「確かにそう簡単な話じゃないな」

男「だから家に帰ってから夜中まで副業をして、投資金額が目標を超えたら辞めようと思ってるんです」

漁師「へえ、すごいねえ。もしかして最近都会で流行ってるFIREってやつかい」

男「そうなんですよ^^」

漁師「実はこの街にもFIREして都会から移り住んでくる人が増えていてね」

釣り人

漁師「ほら、あっちに見えるお兄さんも先月来たばかりだ」

男「実はそのウワサを耳にして、出張ついでに見に来たんですよ^^」

漁師「なんだ、そうだったのかい」

男「まあ、自分の場合は完全にFIREしようと思うともっと財産が必要なので、少し働くサイドFIREが目標ですね」

漁師「サイドFIRE? そんなものもあるのか」

男「ええ。仕事自体は別に嫌いじゃないし、会社を辞めても誰かの役に立つのは好きなので、ゆるく仕事も続けたいですね^^」

配当金

漁師「うーん。おいらにはサイドFIREがイマイチピンとこないんだけど、午前中だけ漁をしている自分と何が違うんだ?

男「例えば株式投資で5,000万円の株を持っているとします。税金を引いた後の利回りが4%なら、年間200万円が働かなくても入ってくる点ですね」

漁師「なんだって? 働かなくても入ってくるって?」

男「そうです。ここに住むなら最低限の生活費がまかなえるかなと」

漁師「なるほど。十分すぎるな」

男「あなたは確かに自由ですが、毎日漁をしないといけないんでしょう?

漁師「そりゃそうだ」

男「もし、何らかの事情で漁ができなくなったらどうするんですか? 船が壊れたら? ケガをしたら?」

漁師「ああ、今までずっと漁ができるのが当たり前だと思っていたから、そんなこと考えたこともなかったな」

男「そうですよね。でも、絶対はないでしょう?」

缶詰工場

漁師「まあそうだけど。・・・でも、おいらはこれ以上漁をして、水産加工工場を作って、都会で会社を大きくして売却なんてのは嫌だぜ」

男「なんですかそれ^^ せっかく今、ここで自由を謳歌(おうか)しているのに、自分から手放してどうするんでしょうね」

漁師「昔、MBAを取ってるとかいう経営コンサルタントが言ってたんだよ」

男「へぇ。自分は中小零細企業向けのコンサルタントなので、そういうアドバイスはしませんね」

漁師「コンサルタントにもいろいろあるんだな」

男「漁師もみんながみんな、マグロの一本釣りをしているわけではないでしょう?」

収入源

男「まずは、漁ができないときに備えて漁以外の収入源を作ってみたらどうです?」

漁師「お兄さんみたいに株式投資をしろってことかい?」

男「まあそれもいいですけど、ある程度まとまったタネ銭がいるのが株式投資のネックですね」

漁師「おいらは船の修繕とかもあるからなあ」

男「他にも収入源を作る方法はいろいろありますよ。何か小さな事業をはじめてもいいし、不動産投資でもいいと思います」

漁師「事業ねえ」

男「あなたが言うように、自分と自分の家族が食べるのを目指すなら、そんなにいらないわけですから」

漁師「確かにそうだな」

===2年後===

男は資産が目標金額を超えたので、コンサル会社を退職してあの田舎町に引っ越してきました。

海に行くと、再びあの漁師に出会いました。

男「こんにちは。またお会いしましたね」

漁師「ん? ・・・ああ! あのときのお兄さんか。スーツじゃないから誰かと思ったよ。久しぶりだな」

男「実は今日からこっちに引っ越してくることになりまして。よろしくお願いします」

漁師「おお、よろしくな」

男「なんか撮影機材っぽいのが船に乗ってますね」

漁師「そうなんだよ。お兄さんから漁以外の収入源を作る話を聞いて、いろいろやってみたんだよ。まあ、20くらいは失敗したな^^」

男「失敗しましたか^^」

YouTube

漁師「でもその中でYouTubeがたまたまヒットして、こうやって撮影機材も増えていったのよ」

男「え? 漁師さん、YouTuberなんですか」

漁師「そうそう。あるとき子どもに『パパ、YouTuberやれば?』と言われてゼロからやってみたら、趣味としてもおもしろくてハマったよ」

男「へえ。・・・え、チャンネル登録者数10万人超えてるじゃないですか!」

漁師「漁協にYouTuberやって大丈夫か聞いたり、ほとんど再生されなくて心が折れかけたりしたけど、漁師メシをアップしてから急に反応が出てね」

男「なるほど。でもその分、忙しくなってませんか?

漁師「最初は自分だけで時間もかかったよ。けど、この町にも動画編集が得意な若い子がいるから今は任せてるね」

男「それは素晴らしい^^」

漁師「船の上の撮影は危ないからともかく、漁師メシの撮影は家の中だからかなり手伝ってもらってるよ」

男「なるほど、仕組みができてるんですね。じゃあ、働くのは・・・」

漁師「今も基本は午前中だけだね^^」

男「おお~^^」

漁師「YouTubeのおかげか学校で魚の話をすることが増えたな。まあ、これは漁師の魅力を伝えるためで、別に仕事だと思ってないが」

教室

男「これからはどうするんですか? YouTube事業を拡大するんですか?」

漁師「YouTubeも結局、漁と同じで水ものだからね^^ 生活に必要な分以外は、漁とは無関係な不動産投資に回してるよ

男「なるほど」

漁師「不動産投資も仕組み化して、ほとんどやることもないからね。まあ、やりたいのは漁だから、漁ができる限りはずっと海に出るさ」

不動産投資

男「この2年でいろいろ行動されましたね」

漁師「お兄さんのアドバイスのおかげだよ」

男「いやいや。ふつうの人は他人のアドバイスなんて聞いても行動しないんですよ

漁師「はは、そんなものかい? そんなことよりお兄さん、昼は食べたかい? ごちそうするよ」

男「おお、それは楽しみですね^^」

==========

「メキシコ漁師とMBAコンサルタント」という有名なコピペ話があります。

MBAコンサルタントがメキシコ漁師に対して

「もっと漁をして水産加工工場を作って会社を上場させれば、億万長者になれる」

ように提案します。

しかし、億万長者になって引退した結果、MBAコンサルタントが理想として語る生活は、メキシコ漁師の生活そのものだったので

「・・・・そんな生活なら、もう手に入れているじゃないか」

と言うのが話のオチです。

この話を読んだ人は、メキシコ漁師とMBAコンサルタントのどちらがよいのか、と自分に照らして考えるかもしれません。

しかし私は、ずっとどちらの生き方もあまり共感できませんでした

「メキシコの漁師」は、すでにMBAコンサルタントが望む自由を手に入れているように見えます。

しかし、その自由の前提が崩れたときの備えが見えません

漁ができなくなったら、どうするのでしょうか?

船が壊れたら、どうするのでしょうか?

「MBAコンサルタント」の提案は、会社を上場しろと言っているようなものです。

実践できる人が少ないし、時間がかかりすぎます。

目的に対して、手段が過剰です。

そこまでしないといけないのか?

と疑問しかありませんでした。

今回の話の中で言えば、

サイドFIREを目指すコンサルタント

が、私が選んだ生き方です。

違うのは住んでいるところが「海のそばではない」ことくらいでしょうか。

自宅が職場

もちろん、この生き方は、私にとってベストなだけです。

他人にこの生き方を押しつける気はありません。

ただ、そういう選択肢もあるということです。

大事なのは漁師の生き方がいいのか、コンサルタントの生き方がいいのかではなく

自分の生き方を

どう考え

どう行動するのか?

ということです。

自分の人生のデザインは、自分にしかできません。

自分の人生の答えは、自分の中にしかありません。

そして自分の生き方を実現するには、自分が行動するしかありません。

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今回の話は、もちろんフィクションです。

ただ、非現実的な話かというとそうでもありません。

実際にチャンネル登録者数が約40万人の漁師YouTuberさんがいます。

また、私の祖父母が離島に住んでいて、子どもの頃、夏休みはずっと海で遊んでいました。

現在は過疎化が進んで人口は減りましたが、現在はリタイアやFIREした人たちが空き家を買って、毎日釣りをして暮らしていると聞いて驚きました。

世の中には、そういう選択肢もあります

自分の生き方をどう考え、どう行動するのか?

この話が考える材料になれば幸いです^^

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