請求書/インボイス

【どうなる?】消費税のインボイス制度が「アフィリエイター」に与える影響を勝手に6つ予想した。

アフィリエイトとインボイス制度の影響

2023年10月から消費税のインボイス制度が始まります。

しかし、今のところASPからも何も連絡がないので、アフィリエイトに与える影響を勝手に予想します。

「この場合はどうなの?」

「それは間違ってるんじゃない?」

など、皆さんの意見を聞いてみたいので、Twitterでコメントお待ちしております。

予想は次の6つです。

  • 予想1:Googleアドセンスは影響なし。
  • 予想2:ASPは番号を登録させる。
  • 予想3:3/31までに手続きしない免税事業者が出る。
  • 予想4:3/31までに手続きしない課税事業者が出る。
  • 予想5:法人設立2年間の消費税免税がなくなり法人成りをためらう人が出る。
  • 予想6:法人アフィリエイターは個人名義をどうするかで悩む。

※自分は税理士ではないので、具体的な税金の相談は税理士へお願いします。

インボイス制度の基本知識

この記事を読むにあたって知ってほしいことを2つ紹介します。

その1:インボイスは「特別な番号」が書かれた請求書

まず「インボイスって何?」ですが、一言で言えば

特別な番号が書かれた請求書

です。

税務署に登録申請すると自分独自の特別な番号(登録番号)がもらえます。

T+13桁の数字

です。

ただし、登録できるのは消費税を納税する「課税事業者」に限られます

消費税を納税しない「免税事業者」は登録ができません。

これを請求書に書いて相手に渡します。

※インボイス(適格請求書)の例

登録番号があるかどうかがインボイスになれるかどうかを決めます。

その2:インボイスをもらった相手は「控除」ができる。

消費税は

  • 預かった消費税-支払った消費税=納税する消費税

で計算します。

「支払った消費税」があれば、その分は控除できるので税金を払う必要がありません。

これを「仕入税額控除」と言います。

今まではどんな請求書でも関係なく、仕入税額控除ができました。

2023年10月以降は、原則として「インボイス」がこの控除の条件になります。

消費税を上乗せして払っても、インボイスがもらえなければ控除できないわけです。

そこで「損をしたくないからインボイスがほしい」となります。

  • 課税事業者:税務署に登録するだけ
  • 免税事業者:インボイスを発行するには課税事業者になって税務署に登録しないといけない

ということで、免税事業者は

  • 免税のままでインボイスをあきらめるか
  • 課税事業者になってインボイスを発行するか

選択を迫られます。

予想1:Googleアドセンスは影響なし。

まずGoogleアドセンスはインボイス制度の影響がありません

そもそも消費税がかかっていません(不課税取引)。

そのため、Googleから「インボイスをください」と言われることは考えられません。

Googleアドセンスしか収入がない人は、インボイスが欲しい人がいないので、特に悩む必要はないと予想します。

「YouTubeで広告収入(アドセンス)しかない人はインボイスが関係ない」

と言われるのと同じです。

ただし、間に日本の代理店をはさんでGoogleアドセンスをやっている場合は、その代理店に対して「インボイス」がいると思うので個別に確認しましょう。

予想2:ASPは番号を登録させる。

ASP側の事情

インボイス制度が導入されて困るのはASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)です。

アフィリエイターから「インボイス」をもらわないと仕入税額控除ができないからです。

めちゃくちゃざっくり言うと

  • 広告主から預かった消費税-アフィリエイターに支払う消費税=納税する消費税

なので、アフィリエイターに支払う消費税が控除できないと、その分だけASPさんは消費税をの納めないといけません。

結果、ASP側の利益が減るので困ります

そこで、なんとかしてASP側はインボイス制度に対応してくるでしょう。

※早くどうするのか教えてください。お願いします。

疑問点

ただ、今までアフィリエイターからASPさんに対して「請求書」を発行したことがありません(20以上登録しましたが、1つもないです)。

そこでアフィリエイターに「インボイス」を発行させるというよりも「インボイスの登録番号」を登録させると予想します。

ASPさんへの登録情報で「インボイス」に書かないといけない情報はほとんどカバーできます。

唯一不足するのが「登録番号」です。

だからASPさんの基本情報にも「登録番号」を入力させるのではないかと予想します(他にも方法はあると思いますが、たぶんこれが1番手間がかからない)。

そして登録番号が

  • ある人:「税込み(+10%)」で支払い
  • ない人:「税抜き※」で支払い

と報酬に差をつけると予想します。

登録番号がない人の報酬については

  • 当初6年間のインボイス制度の経過措置
  • 他の法律との兼ね合い

があるので、いきなり10%カットにはならないと思いますが、将来的には減ると予想します。

「アフィリエイターは請求書を発行したことがないからインボイスなんて関係ないよ」

という意見があるようですが、上場企業もいるASPさんがインボイスなしでどうやって適法に仕入税額控除をするのか理解できないので、それはちょっと無理かなあ。

(参考)自分が「支払う側」の場合

例えば

  • 記事:ライターさんに依頼
  • アイキャッチ・図解:イラストレーターさんに依頼

しているときに、その支払いのインボイスはどうなるの?と思った人もいると思います。

自分が売上5,000万円以下で「簡易課税」を使って消費税を計算しているときは、インボイスが不要なので特に問題になりません。

一方、売上5,000万円超で「原則課税(本則課税)」を使っているときは、ASPさんと同じでインボイスがないと消費税の控除ができないので、相手にインボイスをもらう必要が出てきます。

困ったものですが、たぶん売上が多い人は顧問税理士さんがいると思うのでよく相談してください。

予想3:3/31までに手続きしない免税事業者が出る。

免税事業者は選択が必要

免税事業者は、次のいずれかの選択を迫られると予想します。

  • 免税のままでインボイスはあきらめる
  • 課税事業者になって税務署に登録してインボイス発行

免税のままでインボイスはあきらめる

  • メリット:手間は少ない
  • デメリット:ASPから報酬を下げられる可能性あり


課税事業者になって税務署に登録してインボイス発行

  • メリット:ASPから消費税10%上乗せはキープできる
  • デメリット:手間がかかる、消費税の納税も発生(簡易課税を使うと納税は売上の5%相当に)

うーん、どっちの道を選んでも手元に残る金額は減ります

「ASP側がインボイスの有無にかかわらず同じ報酬にする」

という可能性もあります。

でも、ASP側が損をかぶらないといけないので現実的ではないかなと。

選択の期限は3月31日

「いつまで」に選択するかですが、期限は2023年3月31日までです。

10月ではありません、3月です。

インボイス制度は2023年10月からはじまります。

でも、その10月からインボイスを発行するためには事前準備として2023年3月31日までに税務署に登録する必要があるからです。

「10月からはじまるから大丈夫」だと思って、3月31日までに手続きしない人が出てくると予想します。

検討・手続を忘れずに。

予想4:3/31までに手続きしない課税事業者が出る。

課税事業者も3月31日までに登録

2023年10月からインボイスを発行するためには2023年3月31日までに登録申請書を税務署に提出する必要があります(2回目)。

これは課税事業者も必要です。

「自分は課税事業者だから何もしなくても大丈夫」だと思って、本当に何もしない人が出てくると予想します。

手続きを忘れずに。

登録しないとどうなる?

登録しないと「インボイスが発行できない課税事業者」になります。

最初のGoogleアドセンスしか収入がないのでインボイスなんていらない、という人は、これでもいいと思います。

でも、ふつうのアフィリエイト収入がある人は、免税事業者と同じ扱いなので、報酬から消費税分がカットされると予想されます。

手続きを忘れずに(2回目)。

予想5:法人設立2年間の消費税免税がなくなり法人成りをためらう人が出る。

インボイスで節税が封じられる

法人成りしたときの節税メリットの1つに消費税の2年間免税があります。

しかし、設立当初からインボイスを発行する会社はこのメリットがなくなります

なぜならインボイスを発行するためには、課税事業者になって登録番号をもらわないといけないからです。

アフィリエイトでガンガン稼いで法人成りするときは、2023年10月以降はインボイスを発行することになるでしょう。

免税メリットは2023年9月まで

法人成りによる消費税の免税メリットが使えるのは2023年9月までです。

例えば免税メリットは

  • 2022年7月に法人成り:2022年7月~2023年9月の「1年3か月分」
  • 2023年4月に法人成り:2023年4~9月の「6か月分」

ともう2年切ってます。

売上・利益によっては思ったより節税メリットがなくなって、法人成りをためらう人も出てくるのではないかと予想します。

まあ、法人成りは節税のためだけにするものではないのですが、税理士さんによく相談してください。

予想6:法人アフィリエイターは個人名義をどうするかで悩む。

節税のために法人成りしたアフィリエイターさんの中には、ASPに対して個人名義のまま登録しているものがないでしょうか。

法人にすると審査があって面倒だし、個人のままでいいか、みたいな感じです。

例えば楽天アフィリエイトは、法人で登録するときには審査が必要です。

税金の世界には「実質所得者課税の原則」というものがあります。

たとえASPに個人名義で登録していても、実際に事業を行っているのが「法人」なら、法人の売上として税金を計算しようね、という考え方です。

  • 名義:個人
  • 実質:法人→法人税を計算

だから個人名義のままでも法人の方で法人税がかかっているなら特に問題になりません。

一方、消費税は困ったことが起こります。

インボイスに実質所得者課税の原則みたいな考え方がないからです。

名義が個人なら、当然、個人のインボイスがあるよね、となります。

個人が免税事業者の場合、インボイスの登録番号がないのでASPに登録できません。

  • 個人名義のまま:消費税分が報酬からカットされる
  • 法人名義に登録し直す法人のインボイスの登録番号を登録

になると予想します。

ちなみに個人が課税事業者で法人の代わりにインボイスを出すと「おかしなこと」になるのでやらない方がいいんでしょうね(番号が違うから)。

終わりに

6つの予想をしました。

  • 予想1:Googleアドセンスは影響なし。
  • 予想2:ASPは番号を登録させる。
  • 予想3:3/31までに手続きしない免税事業者が出る。
  • 予想4:3/31までに手続きしない課税事業者が出る。
  • 予想5:法人設立2年間の消費税免税がなくなり法人成りをためらう人が出る。
  • 予想6:法人アフィリエイターは個人名義をどうするかで悩む。

「正直、何を言ってるか全然わからなかったよ!」

という人は、最初だけ税理士さんに相談してはいかがでしょうか。

モチはモチ屋、税金は税理士です。

というか、税金の相談は法律で税理士しかできないようになっています。

消費税は所得税に比べると独特の考え方なので、最初に交通整理が必要です。

自分で勉強する人もいると思います。

しかし、その時間があったら税理士さんに相談して、空いた時間で売上を増やすという考え方もあります。

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