「4年落ちの車は全額経費になって節税になる」
という話を聞いたことがあるかもしれません。
では、3月決算の会社が
「今年度は利益がたくさん出そうだ。決算対策として3月(決算月)に300万円の車を買おう」
とすると、どうなるでしょうか?
答えは、全額経費になりません。
残念ながら、1か月分しか経費にならないのです。
※車以外の固定資産も考え方は同じです。
4年落ちの車は早く経費になる
ふつう車は固定資産にして、減価償却の計算の範囲で毎年度の経費にしていきます。
300万円の車を買っても、すぐに全額が経費になるわけではありません。
例えば耐用年数6年の車の場合は、6年かけて経費にしていきます。
ただし、中古車の場合は話が変わってきます。
特に4年落ちの車の場合は、耐用年数が2年になります。
<中古耐用年数の計算>
法定耐用年数6年-(経過年数4年×0.8)=2.8年→2年(1年未満切捨)
耐用年数2年で定率法の場合は、1年で全額を減価償却費として経費にできます。
「4年落ちの車は全額経費になって節税になる」と言われるわけです。
年度の途中で購入すると月割りになる
・・・しかし、冒頭に書いたように、決算対策でこれをやろうとすると、うまくきません。
なぜなら年度の途中で購入した場合は、月割りで計算するからです。
最初の月なら全額経費
3月決算の会社が4月(最初の月)に車を購入する場合は
- 300万円×定率法の償却率1.0×12か月/12か月=300万円
で全額が経費になります。
決算月だと1か月分
しかし、決算対策で3月(決算月)に購入すると
- 300万円×定率法の償却率1.0×1か月/12か月=25万円
だけ、つまり1か月分しか経費になりません。
1年で全額経費になるというよりは、12か月で全額経費になると言った方が正確でしょうか。
今年度は車を購入してから1か月しか経っていないので、1か月分しか経費にならないのです。
決算対策でせっかく300万円の車を買ったのに、決算月だと今年度の経費になるのは1/12の25万円です。
残りは翌年度の経費になるとはいえ、本来の目的は今年度の決算対策なので、微妙です。
- 今年度の経費:25万円
- 翌年度の経費:275万円
4年落ちの車の全額が経費になるのは、その年度の「最初の月」に購入した場合だけです。
決算対策で車の購入をしているようでは遅いのです。
その車を今、購入する必要があるのか、立ち止まって考えましょう。