マイクロ法人

【マイクロ法人】個人が持つ高配当株,ETFの含み損益をそのままにして会社に移せるか?

株を個人から会社に移せるか

結論としては

個人から会社に含み損益をそのままにして株を移せない

です。

個人の口座から株が離れた瞬間に売却益に課税されるか、売却損になります。

マイクロ法人を資産管理会社に

マイクロ法人の問題点は「収入源をどうするか」です。

2つ以上の異なる事業があって、そのうちから1つを移せるなら解決しますが、

「事業の収入源がないので配当金で何とかならないか

という選択肢を思いつきます。

例えば、会社が次のような株を持っていると配当金が収入になります。

  • 高配当株:1,500万円
  • 利回り:4%
  • 配当金収入:年60万円

そこから役員報酬、会社負担分の社会保険料、税理士報酬などの諸経費を引けばトントンで税金もかからないとします。

毎年安定した収入なので、マイクロ法人と相性が良い収入です。

個人から会社へ移せるか?

「よし、今、個人口座に日本高配当株や米国高配当ETFが時価で1,500万円くらいあるから、そのままマイクロ法人に移そう!」

と考えるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。

なぜなら、個人とマイクロ法人は「他人」だからです。

「自分のA証券口座」から「自分のB証券口座」に株を移すこと(移管)とは次元が違います。

現実的な方法

現実的なのは、「個人が売って、法人が同じ銘柄を買う」方法です。

前提

話をシンプルにするために

  • 特定口座(源泉徴収あり)
  • 日本高配当株
  • 時価1,500万円
  • 取得価格1,200万円
  • 含み益300万円

で持っているとします。

流れ

  1. 個人:特定口座で日本高配当株を時価1,500万円で売る
  2. 個人:売却益300万円に約60万円(2割の税金)がかかる
  3. 個人:手取り約1,440万円+60万円=1,500万円を会社に貸しつける
  4. 会社:法人口座で同じ銘柄を買う
  5. 会社:配当金60万円/年をもらう

※会社に資金が最初からある場合は、手順3は不要です。

ポイント

この前提だと個人が持つ株には「含み益」があるので、売った時点で売却益が出て税金を払うことになります。

逆に「含み損」があるなら、売却損が出ます。

この点は、どうしようもないですね。

ちなみに他の株に損や益があるなら、このタイミングで売って相殺するのもアリでしょう。

いずれにしても、個人が持っている株の含み損益をそのままにして会社に移すことはできません

一度、売るからです。

なお、個人が売り、資金を会社に移し、会社が買うまでタイムラグができます。

すべてを同じ価格で買い直すのは困難でしょう。

よくありそうな質問

配当金だけ会社のものにできないか?

「じゃあ、個人に株だけ残して、配当金だけ会社のものにできないか?」

というのは、考えるまでもなくムリですね。

株を持っているのは個人なので、個人に対する収入(配当所得)になります。

個人の特定口座で源泉徴収された約2割の税金はどうするのでしょうか?

一般口座にして移せないか?

仮に「個人の特定口座」から「個人の一般口座」へ移して、「法人の一般口座」へ移管できたとしましょう。

その場合も「個人の一般口座」から株がなくなる瞬間に「売却益または売却損」が発生するので結果は同じです。

むしろ

  • 名義変更が大変
  • 一般口座は自分で確定申告をすることになるので面倒

になるのではないでしょうか?

現物出資は使えないのか?

お金以外の資産(現物)を資本金として出資する「現物出資」という方法もあります。

この方法も「資産」については「時価」で出資したものとして扱うので、結局、個人側で売却益・売却損が発生するので変わりません。

また、1,500万円分の株式を出資すると資本金も1,500万円になります。

税金的にデメリットが発生するので現物出資はおすすめしません。

  • 消費税:資本金1,000万円以上になると、強制的に納税の対象になる課税事業者になる(納税はなくても申告は必要)
  • 法人住民税:資本金1,000万円超になると、均等割が7万円から「18万円」前後に増える
出典:東京都主税局「法人事業税・法人都民税 Q&A

上場企業の創業者が使う節税方法は使えないのか?

上場企業の創業者一族が「公益財団法人」など公益性が高い法人に対して上場株式を寄付する場合の話かと思います。

寄付をしても売ったのと同じ扱いで売却益が出るものの、相手が社会貢献をする法人なら国としては後押ししてほしいので税金をかけない売却益の特例です。

・・・しかし、この特例はマイクロ法人では全く現実的な方法ではないので使えません。

最後に

マイクロ法人を資産管理会社にすること自体は1つのアイデアです。

しかし、個人が持っている株をそのまま会社へ移すのは難しいです。

現実的には一度個人で売って、会社で改めて同じ銘柄を買い直すことになります。

ただ、タイミングは難しいですね。

高配当株は安いときに買うのがセオリーです。

そうすると個人の含み益もなくなってるか含み損になってる時期に一度売るので、個人としてはあまりおいしくないです。

逆に含み益が高いときに一度売ると個人では売却益は出ますが、会社の方は高いときに買ってるので微妙です。

株全体で損益がトントンの場合ならいいのですが、なかなかそうもいきません。

あまりこういう情報は出てこないので、もし何かこの記事に書いているよりもっといい方法があれば、ぜひ教えてください^^

<本の紹介>

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