橘玲氏の『幸福の資本論』では
- 金融資産
- 人的資本
- 社会資本
の3つの資本/資産から
「幸福に生きるための土台」
の設計を提案しています。
この本はFIREをしている人もFIREを目指している人も必読の本なので、手にとって読んでみてください。
FIREというのは3つのうち1番目の「金融資産」をクリアした状態です。
しかし残念ながら物語のように
「幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」
といかないのがFIREです。
確かにFIREをした人は自分が生活できるレベルの「金融資産」を築いて「自由」を獲得したかもしれません。
しかし、会社を早期退職することで
- 「会社」における人的資本(やりがい)
- 「会社」における社会資本(つながり)
を同時に失います。

『幸福の資本論』の中でもこのパターンは
「典型的な(独身)退職者」
としています。
今までは、定年退職して年金生活者になる人の問題がまさにこれでした。
FIREをする人も同じことが起こります。
しかも定年退職する人よりその期間が長いですね。
もし「会社以外」に人的資本・社会資本を満たす方法がないと
「FIREしたのになんだかつまらない」
「自由になったけど、やることがなくて暇だ」
「思ったより幸せじゃない」
とせっかくFIREしたのにもやもやした気持ちになったら要注意です。
そのもやもや、さらに持っている資産を1億円から2億円、10億円に増やしても解決しません。
金融資産の問題ではないからです。
今回は『幸せの資本論』で紹介されている人的資本と社会資本をもとに、3つのパターンで考えてみました。
〈幸せな3つのFIRE〉
- やりがいFIRE
- つながりFIRE
- しあわせFIRE
ちなみにこの3つは著者ではなく、私が勝手に考えて名づけた言葉なので、そこだけはご注意ください。
最初にイメージしやすいようにイメージ図を並べるとこんな感じです。



FIREなので1番左の「金融資産」はいずれも充実しています。
一方、人的資本と社会資本の充実ぶりが違いますね。
順番に見ていきましょう。
やりがいFIRE

まずは「金融資産」と「人的資本(やりがい)」がある「やりがいFIRE」です。
ストレスのない仕事
FIREをすると
「毎日が退屈!」
と言ってまた仕事や自分の事業をする人がいます。
「なんだ、また仕事をするのか、FIRE前と変わらないじゃないか」
と思う人もいるかもしれませんが
- FIRE前:「お金」のため
- FIRE後:「やりがい」のため
と全然違います。
お金のためにやっていないので
「なんか仕事のやりがいがないな」
と思っても、すぐにやめられるからです。
どこで働くのか、誰と働くのか、何時間働くのかも自由に決められます。
自分の事業ならもっと自由度は高いです。
ちなみに『幸福の資本論』では「投資家・トレーダー」が例として出ています。
これは人的資本(恵まれた仕事)と金融資産(じゅうぶんな財産)があれば、面倒な人間関係(親戚や友だちづき合い)を切り捨てても困らない、ということでもあります。
出典:橘玲『幸福の資本論』
ネットビジネスのように、人に会わなくてもできる事業を作るのも良いでしょう。
会社員時代に人間関係のストレスを抱えていた人は、FIRE後もあえてストレスを抱えないように面倒な人間関係を避けるのが幸福につながります。
没頭できる趣味
もちろん仕事だけでなく、ひとりで没頭できる趣味も良いですね。
会社員時代には時間がなくてできなかったことをやっている人も多く見かけます。
そもそも「仕事が趣味」だとという人もいますね。
その他
仕事や趣味以外にも自分がやりがいを感じられものがあるかもしれません。
例えばブログ・YouTube・TwitterなどでFIREや株式投資・不動産投資に関する情報提供をするのがやりがいにつながる人も多いと思います(趣味かもですが)。
1つだけではなく、複数組み合わせるのも良いでしょう。
私の場合は兼業主夫として仕事・家事・育児をやって、趣味のブログや読書も終わりそうにないので、退屈になる気がしません。
つながりFIRE

次はやりがいはないけど「社会資本(つながり)」がある「つながりFIRE」です。
『幸福の資本論』ではこのパターンについて次のように書かれています。
金融資産と社会資本を持ちながら人的資本がない(働いていない)ひともいるでしょう。イメージとしては、気前よく財産をばら撒いてみんなの人気者になっているという感じですから「旦那」としましょう。
出典:橘玲『幸福の資本論』
FIREをしている人でこの「旦那(パトロン)」みたいなイメージが少ないので、現実的な例を見てみましょう。
家族がいる人
まず会社を辞めてもパートナーがいたり、子どもがいる人はそれだけで社会資本があるといえます。
もちろん、家族と良好な関係を築いていることが前提です。
友人がいる人
会社を辞めても友人がいる人もやはり社会資本が充実しています。
別に昔からの友人だけでなく、同じFIREしている人を見つけて仲良くなるのも良いですね。
その他
家族や友人以外にもつながりを感じることができる人がいるかもしれません。
数人とつながるのがいいという人もいれば、多くの人とゆるくつながるのがいいという人もいるでしょう。
私の場合は基本、家族と一緒ですが、たまに人と会って話すくらいがちょうどいいです。
しあわせFIRE

最後は人的資本(やりがい)も社会資本(つながり)も充実している「しあわせFIRE」です。
※繰り返しになりますが、これらの名前は著者の言葉ではなく私が勝手に名づけたものです。
本の中では全て充実した状態を「超充」と呼んでいます。
ちょっとあり得ない設定ですが、その人生は超充実しているでしょうから、これを「超充」と名付けましょう。
出典:橘玲『幸福の資本論』
FIREの世界で一番充実した状態といえば
- 十分すぎる金融資産があり(ファットFIRE)
- 仕事や趣味で十分すぎるやりがいを持ち
- 家族や友人ととても良好な関係を築いている
でしょうか。
「そこまで充実させようと思うと時間がかかりすぎるし、別にファットFIREまでいかなくても十分幸せだよ!」
という場合には、サイドFIREやバリスタFIREでファットFIREより早く退職を実現する方が早く幸せを手に入れられます。
私はサイドFIREです。
関連>>サイドFIREのメリット5選
関連>>バリスタFIREのメリット5選
超充実している人はどんな人でしょうか。
いくつかパターンを考えてみました(他にもあると思います)。
仕事+家族や友人
やりがいは仕事や自分の事業で感じ、つながりは仕事とは別に家族や友人で感じるパターンです。
趣味+家族や友人
次はやりがいは趣味で感じ、つながりは趣味とは別に家族や友人で感じるパターンです。
仕事仲間
仕事や自分の事業を通じて積極的にいろんな人とかかわることで、やりがいもつながりも同時に手に入れるパターンです。
趣味仲間
同じ趣味を楽しむ仲間とつながって、やりがいもつながりも手に入れるパターンです。
この他にもやりがいとつながりを同時に満たせる場合があるので、「自分に合ったもの」を見つけたいところです。
最後に
今回は、橘玲氏の『幸福の資本論』をもとに幸せな3つのFIREを考えてみました。
〈幸せな3つのFIRE〉
- やりがいFIRE
- つながりFIRE
- しあわせFIRE
会社を辞めて
「幸せがなんか足らない!」
と思ったときに逆効果なのは
「さらに金融資産を増やすこと」
です。
もう金融資産は満たされているのです。
資産1億円で既に「自由」なら、それを2億円にしても10億円にしても自由度が2倍や10倍になることはありません。
目を向けるべきは
- 人的資本=やりがい
- 社会資本=つながり
です。
まずはどちらかを満たして「やりがいFIRE」か「つながりFIRE」にしましょう。


これだけで十分幸せという人もいると思います。
さらにそこから「しあわせFIRE」にたどり着けばお金もお金以外もバランスよく満たされます。

ここまで来れば
「なんでFIREしたんだろう」
と疑問に思うことはなくなり、
「FIREしてよかった!」
とさらに充実した毎日を送れるでしょう。
FIREはゴールではなくスタートです。
自分の人生の主導権は会社から取り戻しました。
自分の人生を自分の手でデザインしていきましょう。
〈本の紹介〉
今回の記事を書くもとになった本です。金融資産・人的資本・社会資本についてもっと具体的に知りたい人は手にとって読んでみてください。
FIREをした人はもちろん、これからFIREをしたい人にもおすすめです。