社会保険

ひとり社長が加入する社会保険の種類|会社員・個人事業主との違いは?

ひとり社長と社会保険

保険には

  • 社会保険(公的保険)
  • 民間保険(指摘保険)

の2種類があります。

今回のテーマは「社会保険」です。

会社員・個人事業主と比較しながら、「ひとり社長」が加入する社会保険についてまとめました。

最後には「ひとり社長 兼 個人事業主」の場合はどうなるかについても解説しています。

社会保険の種類

社会保険には

  • 公的医療保険
  • 公的介護保険
  • 公的年金保険
  • 労災保険
  • 雇用保険

の5種類があります。

公的医療保険は具体的には「健康保険」、「国民健康保険」、「後期高齢者医療制度」が、公的年金保険には「国民年金」と「厚生年金保険」があります。

次のように分けることもできます。

  • 狭い意味の社会保険:公的医療保険、公的介護保険、公的年金保険
  • 労働保険:労災保険、雇用保険

労働保険は「労働者の保護と雇用の安定を図ることを目的」とした社会保険のため、労働者以外の人、つまり個人事業主や会社の役員には関係ありません

ここからは、会社員、個人事業主、ひとり社長の順番に社会保険の種類を見ていきます。

会社員と社会保険

会社員は次の5つです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

※給与明細には労災保険料が天引きされていませんが、「全額」が会社負担だからです。

ちなみに、厚生年金保険には「国民年金」部分も含んでいます

日本の年金制度は1階が「国民年金」、2階が「厚生年金保険」で、会社員は強制的に国民年金に加入しています(国民年金の第2号被保険者)。

出典:楽天生命「公的年金とはどんな制度?

個人事業主と社会保険

次に個人事業主・フリーランスの場合は次の3つです。

  • 国民健康保険
  • 介護保険
  • 国民年金

「狭い意味の社会保険」だけですね。

会社員と違って「国民健康保険」と「国民年金」になります。

また、会社員と違って労働者ではないので、労働保険(労災保険と雇用保険)は基本的にありません。

ひとり社長と社会保険

今回のテーマである「ひとり社長」はどうでしょうか。

会社を作ると健康保険、厚生年金保険に加入する義務が発生します。

これは社長ひとりだけの会社も同じです。

※健康保険法第3条、厚生年金保険法第9条。役員報酬ゼロで加入できない場合などを除きます。

そのため次の3つです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

こちらも個人事業主と同じ「狭い意味の社会保険」だけですが、健康保険・介護保険・厚生年金保険は会社員と同じ組み合わせです。

また、役員も労働者ではないので、労働保険(労災保険、雇用保険)は基本的にありません。

ひとり社長 兼 個人事業主

最後に「ひとり社長」と「個人事業主」の両方をやっている場合はどうでしょうか?

<ひとり社長>

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

<個人事業主>

  • 国民健康保険
  • 介護保険
  • 国民年金

上記の全部が対象になる・・・わけではありません。

公的介護保険は同じですし、公的年金保険は厚生年金保険に「国民年金」部分が含まれているのでいいとして、問題は「公的医療保険」です。

健康保険が優先

実は法律の中で、「健康保険の被保険者」は国民健康保険の適用除外になっています。

つまり、重複することはできず、「健康保険」が優先されます。

国民健康保険法第6条(適用除外)
 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者としない
一 健康保険法の規定による被保険者

結果、次のようになります。

<ひとり社長 兼 個人事業主>

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

事業部分は無視

これで加入すべき社会保険が決まりましたが、不思議なことが起こります。

健康保険料(介護保険料を含む)と厚生年金保険料は、「役員報酬」だけで計算します。

個人事業主の事業部分は無視されるのです。

役員報酬の方で社会保険料を負担している限り、事業部分でどれだけ稼いでいても社会保険料がかかりません。

マイクロ法人スキーム

これを利用して役員報酬をギリギリまで下げて全体の社会保険料を最適化しようとするのが「マイクロ法人スキーム」です。

マイクロ法人スキーム

これは別に最近始まったものではなく、昔からある方法です。

ただ、近年はYouTubeやSNS、書籍などで解説する人が増え、多くの人が知るところとなりました。

参考:会社員の副業

会社員が「副業(給料でないもの)」をして、副業部分に社会保険がかからないのも理由は同じです。

副業の社会保険料

会社員の場合、「副業」は社会保険料が節約になるので、個人事業主のようにマイクロ法人を作って節約する必要はありません。

詳しくは次の記事をお読みください。

関連>>【残念!】会社員がマイクロ法人を作っても社会保険料の節約にならない理由

最後に

今回は、会社員・個人事業主と比較しながら、「ひとり社長」が加入する社会保険についてまとめました。

<本の紹介>

マイクロ法人を使った税金・社会保険料の最適化は昔からあります。

しかし、1つの大きなきっかけになったのは、2002年12月に橘玲氏が『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の中で「マイクロ法人」を紹介したことではないかと考えます。

下記の書籍は現在出ている中では新版(2017年発行)で、その後、制度的に微妙に変わった部分もあるものの、基本的な考え方は変わっていません。

マイクロ法人に関心がある方は、ぜひ読んでみてください^^

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