太陽光発電投資は、2012年に固定価格買取制度が始まって一気に広がりました。
当時は産業・事業用の太陽光発電で固定買取価格40円+消費税の大盤ぶるまいで、メガソーラーが乱立しました。
同時に税金面でも法人税・所得税で
- グリーン投資減税(2016/3/31廃止)
- 生産性向上設備投資促進税制(2017/3/31廃止)
と時期は異なりますが、全額または半分を損金(税金上の経費)として落とせる優遇税制がありました。
特に全額経費にできる即時償却は、リーマンショック後に黒字化して節税対策を探していた企業にとってはうってつけの節税商品でした。
例えば1億円の太陽光発電設備を買ったときに、1億円全額が合法的に経費になるのです。
しかもその後、20年間固定買取価格で国が収入を保証してくれるので、儲かっていた会社はこぞって太陽光発電投資をしました。
現在、これらの優遇税制はなくなったため、節税商品としての魅力はなくなりました。
ただし不動産投資と比較すると
- 不動産投資と違って定率法が使える
- 居住用不動産投資と違って消費税の還付を受けられる
というメリットがあるのでご紹介します。
※ふくしま産業復興投資促進特区の話は省略します。
※自家消費型(店舗や工場の屋根に設置するもの)の太陽光発電は現在も優遇税制が使える場合がありますが、今回は投資用太陽光発電の話なので省略します。
※今回は節税の話なので、太陽光発電の収益シミュレーション、自然環境への影響、ケーブルの盗難などの話はしません。
太陽光発電投資は定率法が使える。
新規取得の場合
不動産投資のうち建物・建物附属設備は定額法だけしか使えません。
税制改正で
- 建物:1998年4月~定額法のみ
- 建物附属設備・構築物:2016年4月~定額法のみ
と定率法が封じられました。
一方、太陽光発電投資は機械装置に該当するので、現在でも定率法が使えます。
ただし、固定買取価格はかなり下がった(パネルも下がりましたが)ので、収益的にもとがとれるかどうかは慎重に検討したいところです。
中古物件の場合
不動産投資では築古木造物件を買い、耐用年数22年を超えた物件で最短4年で減価償却する方法があります。
定額法のみだとしても、年数が短いので大きな減価償却費を取れます。
一方、太陽光発電でも中古物件を買うことで耐用年数を短くして節税効果はあります。
ただし、中古の場合は固定買取期間の残り年数も少なくなるので、収益的には微妙なところです。やはり慎重に検討したいところです。
太陽光発電投資は消費税の還付を受けられる。
不動産投資では居住用賃貸不動産(賃貸アパートなど)について大きな税制改正がありました。
2020年10月1日以後に買った物件は、消費税の還付が受けられなくなりました。
もともと居住用物件は消費税の還付のハードルが高かったのですが、
- 自動販売機を置くだけで消費税を還付する自販機スキーム
- 金地金を買うだけで消費税を還付する金地金スキーム
などあの手この手で還付する方法が流行り、どんどん節税スキームは封じられました。
現在は、人が住む賃貸アパートなどを買って、建物部分に消費税が含まれていても、消費税の還付を受けることができません。
※店舗や事務所用は今でもOKです。
一方、太陽光発電設備は機械装置で、居住用賃貸不動産のような規制はありません。
そのため、消費税の還付を受けることができます。
参考:太陽光発電投資は事業所得になる。
所得税の話になりますが
- 太陽光発電投資:事業所得
- 不動産投資:不動産所得
と所得区分が異なります。
まとめ
不動産投資を比較すると
- 不動産投資と違って定率法が使える
- 居住用不動産投資と違って消費税の還付を受けられる
という特徴があります。
しかし、昔の即時償却ができた時代に比べると、だいぶ節税メリットがなくなりました。
節税という観点に限って言えば、不動産投資で築古物件を購入した方が節税と収益化のバランスを取りやすいと考えます。
太陽光のパネル価格も下がっているとはいえ、買取価格もだいぶ下がっています(2021年度は11円または12円+消費税)。
また、太陽光発電自体の国の政策が自家消費型(店舗や工場の屋根に設置するもの)をすすめる方向になっており、今後優遇税制が復活することも望み薄です。
仮にこれから太陽光発電投資をするにしても、収益シミュレーションは慎重に検討することをおすすめします。
特に悪徳業者もいるので、ご注意ください。
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