倒産防止共済の掛金を払って節税するときは、法人税の申告書を作る必要があります。
今回はその書き方です。
ふつうは顧問税理士が作ると思うので、チェックするときに使っていただければ幸いです。
倒産防止共済は、次の2つのパターンがあります。
- 掛金を費用にする場合(費用計上)
- 掛金を資産にする場合(資産計上)
それぞれに分けて解説します。
「え?資産にしていいの?」
と思った人は、先に次の記事をお読みください。
関連>>【倒産防止共済】銀行融資を考えるなら「資産」にするのがおすすめ
【記載例1】費用にする場合
まずは掛金を費用にする場合です。
こちらは処理が少ないシンプルなパターンになります。
仕訳例
前提:倒産防止共済掛金を240万円支払った。
<仕訳>
保険料240万円/普通預金240万円
保険料にすると、損益計算書の費用(販売費及び一般管理費)として出てきます。
※他の勘定科目(営業外費用や特別損失の区分)でもOKです。
申告書の記載例
法人税申告書別表十(七)の作成が必要です。

<記載例>
- 基金に係る法人名23:中小企業基盤整備機構
- 基金の名称24:倒産防止共済
- 告示番号25:(空欄)
- 当期に支出した負担金等の額26:掛金の金額(例:2,400,000)
- 同上のうち損金の額に算入した金額27:掛金の金額(例:2,400,000)
チェック方法
決算書・申告書をチェックするときは
- 損益計算書(保険料など)に倒産防止共済掛金がのっているか?
- 別表十(七)が添付されているか?
について、確認してください。
※正確にはもう1枚、「適用額明細書」という書類も書く必要がありますが、今回は省略しています。
【記載例2】資産にする場合
倒産防止共済掛金を資産にすると、銀行融資で貸借対照表と損益計算書の見ばえが良くなります。
銀行融資を受けない場合でも「倒産防止共済が800万円あるな」とパッと見れるのは、いいと思ってます。
仕訳例
<仕訳>
倒産防止共済掛金240万円
/普通預金240万円
倒産防止共済掛金は貸借対照表の資産(固定資産-投資その他の資産)として出てきます。
なお、「保険積立金」という科目を使う方が一般的かもしれません。
私はわかりやすくするために「倒産防止共済掛金」という科目を使っているので、今回はこの科目でいきます。
申告書の記載例
資産にする場合は、3種類の書類が必要です。
(1) 別表十(七)
法人税申告書別表十(七)は費用にする場合と同じです。

(2) 別表四
次に法人税申告書別表四が必要です。

仕訳で「資産」にしてしまったので、会計上は費用になっていません。
このままだと倒産防止共済掛金を払ったのに節税できません。
税金計算上は費用にしたいので、別表四の「減算」欄に記載して費用を作り出します。
- 会計上:資産
- 税務上:費用(減算)
上記の例では、「総額①」に240万円、「留保②」に240万円と記載しています。
(3) 別表五(一)
最後に法人税申告書別表五(一)を記載します。
役割としては
- 別表四:税金計算上の損益計算書
- 別表五(一):税金計算上の貸借対照表
です。

会計上の貸借対照表には資産として「倒産防止共済掛金」が載っています。
一方、税金計算上、掛金は費用なのでこのままだとおかしくなります。
そこで、別表五(一)で倒産防止共済掛金(資産)をなかったことにします。
上記の例では、「増③」に△240万円、「差引翌期首現在利益積立金額④」に△240万円と記載しています。
※マイナスで表示するのは、そういうルールだと思ってください。
チェック方法
決算書・申告書をチェックするときは
- 貸借対照表に倒産防止共済掛金が【資産の部】にのっているか?
- 別表十(七)が添付されているか?
- 別表四で【減算】されているか?
- 別表五(一)で【マイナス】されて、貸借対照表の倒産防止共済掛金と合計するとゼロになるか?
について、確認してください。
※正確にはもう1枚、「適用額明細書」という書類も書く必要がありますが、今回は省略しています。
まとめ
今回は、倒産防止共済掛金で節税するときの法人税申告書の書き方について
- 掛金を費用にする場合
- 掛金を資産にする場合
に分けてご紹介しました。
自分で申告書を作るときも、顧問税理士に作ってもらうときも、最後に必ず確認しましょう。
次の記事も、合わせてお読みください。