倒産防止共済

【倒産防止共済】銀行融資を考えるなら「資産」にするのがおすすめ

倒産防止共済

今回は、みんな大好き節税の代表選手、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)のお話です。

倒産防止共済は、支払った掛金が全額経費になるすぐれものです。

しかも加入から40か月、掛金を払うと、途中で解約しても100%返ってきます(返ってきたときは収入ですが)。

そんな倒産防止共済ですが、会社の経理方法によって2つの選択肢があります。

  • 費用にする方法
  • 資産にする方法

もし貸借対照表に計上したい場合は、資産にする方法を選んでください、というのが今回の結論です。

資産にすると銀行融資で有利

資産にすると銀行融資の場面で次のメリットがあります。

  • 倒産防止共済掛金を資産にすると、全体の資産が増えて、貸借対照表の見ばえが良くなる
  • 掛金を払ったときに大きな費用が発生しないので、利益が残り、損益計算書の見ばえも良くなる

銀行融資の審査では「決算書」が重視されるので、少しでもよく見せようと思ったら、費用よりも「資産」にするのがおすすめです。

まあ銀行や担当者によっては

「貸借対照表にのってないけど倒産防止共済もある」

と言えば、反映してくれる可能性もありますが、ケースバイケースです。

・・・自分は融資なんて関係ないよ、という場合でも、実質預金みたいなものが貸借対照表に残るので

「倒産防止共済が800万円あるな」

とパッと見れるのは、いいと思ってます。

(1) 掛金を「費用」にする方法

まずはよくある、倒産防止共済掛金を費用にする方法です。

仕訳にすると次のとおりです。

<仕訳>
保険料**円/普通預金**円

保険料は損益計算書の費用(販売費及び一般管理費)として出てきます。

※他の勘定科目でもOKです。

この方法が選ばれるのは

  • 会計ソフトの中:経費
  • 法人税の申告書:経費

と、会計上と税務上の取扱いが一致するからです(調整がいらない)。

税理士さんとしても「ミスが怖い」ので、この方法を採用したがる人は多いです。

ただし、最初に書いたように

  • 貸借対照表に資産として倒産防止共済掛金がのらない
  • 一時的に大きな経費が損益計算書に計上されて利益が少なくなる

というデメリットがあります。

融資的には資産が多くて、利益が多い会社に貸したいので、見ばえという意味ではイマイチです。

(2) 掛金を「資産」にする方法

もう1つが、今回おすすめする倒産防止共済掛金を資産にする方法です。

仕訳にすると次のとおりです。

<仕訳>
倒産防止共済掛金**円/普通預金**円

倒産防止共済掛金は貸借対照表の資産(固定資産-投資その他の資産)として出てきます。

なお、「保険積立金」という科目を使っている方も見かけますが、 私は「倒産防止共済掛金」という科目を使ってます。

ただし、このままだと会社の経費ではないので、節税になりません。

そこで法人税の申告書の中だけでも経費にする調整(減算)をします。

  • 会計ソフトの中:資産
  • 法人税の申告書:経費

会計上と税務上の取扱いが一致しないので気持ち悪いかもしれませんが、結果、

  • 貸借対照表に資産としてのる
  • 損益計算書では大きな費用が出ないので利益が残る
  • 税金の計算上は経費としてみるので節税になる

と、良いとこどりができます。

「ちょっと何言ってるかわからない」

という人は、顧問税理士に相談してください。

絶対に忘れてはいけない1枚の書類

倒産防止共済の掛金を経費にするためには、1枚の書類を税務署に提出する必要があります。

費用にする方法でも資産にする方法でも共通です。

その書類が法人税申告書別表十(七)です。

左上のタイトルに「社会保険診療報酬」とか「肉用牛」とか書いてあるので本当にこれでいいのか不安になりますが、これです。

倒産防止共済

下の方に書く欄があります。

税理士さんが作ると思うのでざっくりいきますが、こんなことを書きます。

<記載例>

  • 基金に係る法人名23:中小企業基盤整備機構
  • 基金の名称24:倒産防止共済
  • 告示番号25:(空欄)
  • 当期に支出した負担金等の額26:掛金の金額
  • 同上のうち損金の額に算入した金額27:掛金の金額

法人税の申告書作成を顧問税理士に丸投げしている場合でも、この別表十(七)があるかどうかは、自分で確認してください。

※正確にはもう1枚、「適用額明細書」という書類も書く必要があります。

たかが書類1枚と言うなかれ、倒産防止共済掛金について別表十(七)の提出漏れと適用額明細書の記載漏れがあって、税務署からNGが出た事例があります。

結果、税理士が依頼者から損害賠償請求を受けたという有名なものです。

ルール上は、法人税の申告をしてしばらく経ってから気づいても後出し禁止なので、どうしようもありません。

まあ、ふつうの税理士さんなら忘れることはないと思いたいのですが、人間のすることなので、丸投げしないで自分で確認するようにしましょう。

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