ネット上で倒産防止共済の掛金に関する仕訳を見ていて思うのは
「なぜみんな、販売費及び一般管理費に計上する仕訳なのか?」
という点です。

販管費に入れたら営業利益が減るので、個人的には好きじゃありません。
特に銀行融資的には、見ばえがよくありません。
他の選択肢として営業外費用や特別損失があります。
今回は、倒産防止共済の掛金を販管費・営業外費用・特別損失のどこに区分するのか問題について書きました。
ちなみに先に結論を書くと、個人的にはそもそも費用にせずに「資産」にするのがおすすめです。
関連>>【倒産防止共済】銀行融資を考えるなら「資産」にするのがおすすめ
よく見かけるのは保険料で販管費に計上する仕訳
倒産防止共済掛金についてよく見る仕訳はこちらです。
<仕訳>
保険料**円/普通預金**円
保険料ではなく「租税公課」にしているものも見かけますが、租税公課は勘定科目として違和感があります。
別に保険料でなければいけないわけではないので、倒産防止共済掛金など、独自の勘定科目を作ってもOKです。
ただ、どの勘定科目を使うにせよ、損益計算書上の区分は販売費及び一般管理費(販管費)を想定しています。
説明のために、簡略化した損益計算書を示します。
販売費及び一般管理費に計上すると営業利益を減らすことになります。

営業利益というのは、本業の利益のことです。
本業で儲かったのか?をあらわすための部分です。
倒産防止共済掛金を販管費にするデメリット
(1) 本業の利益が見えにくくなる
倒産防止共済掛金というのは、多くの場合、本業とは無関係です。
特に節税を目的とした場合、全く関係ありません。
それなのに販管費に入れると、営業利益を削ってしまいます。
自分にとって、本業の利益が見えにくくなります。
(2) 銀行融資上も微妙
銀行融資では営業利益をとても重視します。
なぜなら、借金は本業の利益から返済するという考えがあるからです。
それなのに販管費に入れると、借金の返済能力が見えにくくなります。
まあ、融資担当者によっては、掛金の分を考慮してくれるかもしれませんが。
担当者によっては。
営業外費用
販管費以外の選択肢の1つが営業外費用です。

※勘定科目は雑損失にしていますが、他の科目でもOKです。
営業利益を計算した後に出てくるので、営業利益に影響を与えません。
倒産防止共済掛金は、解約すると雑収入として営業外収益に計上する仕訳が多いです。
- 掛金の支出時:保険料(販管費)
- 解約して収入時:雑収入(営業外収益)
とするよりも
- 掛金の支出時:雑損失(営業外費用)
- 解約して収入時:雑収入(営業外収益)
とした方が、区分はそろいます。
特別損失
営業外費用は営業利益には影響がありませんが、経常利益に影響があります。
銀行融資でも営業利益の次に気にする方も多い利益です。
そこでさらに下の特別損失に入れる選択肢もあります。

営業利益にも経常利益にも影響がありませんね。
めでたしめでたし。
解約金を反映するときも、特別利益にすれば区分がそろいます。
- 掛金の支出時:特別損失
- 解約して収入時:特別利益
・・・ただ税引前当期純利益は減るのですよね(銀行融資ではあまり見ませんが)。
資産計上
さて、ここまで販管費・営業外費用・特別損失にする方法を見てきましたが、
「そもそも損益計算書に反映しなければいいんじゃないか?」
ということで出てくる選択肢が資産計上です。

最後の税引前当期純利益すら減りません。
これは倒産防止共済掛金に損金経理要件がないからできる特殊な処理です。
損金経理要件とは、会計上、費用または損失(販管費・営業外費用・特別損失)で経理することです。
それをしなくていいということは、損益計算書に一切のせなくても節税ができます。
節税目的で倒産防止共済に加入する人が多くを占める現状からすると、利益を見えにくくする費用計上よりも、資産計上の方が決算書を正しく反映するのではないかと思うところです。
自分がどうすればいいのかは、顧問税理士や銀行の融資担当者とご相談ください。
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