「マイクロ法人の銀行口座をどうするか?」
という問題がありますが、私のおすすめは「ゆうちょ銀行」です。
<おすすめする5つの理由>
- 社会保険料の口座振替が可能
- 全国にリアル店舗・ATMがある
- ネットバンキングの月額利用料が無料
- 個人口座と無料で振り込みができる
- 証券口座への入金も対応
特に1番目の「社会保険料の口座振替が可能」は、ネット銀行がほとんど対応していないのでポイントが高いです。
既にネット銀行で口座開設した人も
「社会保険料の支払いがめんどくさい!」
と思うなら、ゆうちょ銀行も口座開設してはいかがでしょうか。
ネット銀行とゆうちょ銀行の2つを持っていると何かと便利です。
今回は特に個人事業主がマイクロ法人を設立して二刀流をする場合を想定しています。
法人成りをしてガンガン稼ぐ場合、ネックになる点もあるので、最後のデメリットで紹介します。
関連>>【ひとり会社設立体験談】銀行口座をメガバンク、地方銀行、信用金庫、ゆうちょ、ネットバンクで作った感想
1.社会保険料の口座振替が可能
ネット銀行(ネット専業銀行)との最大の違いが社会保険料(厚生年金・健康保険料)の口座振替です。
ゆうちょ銀行も昔は口座振替ができませんでしたが、2019年4月1日からできるようになりました。
それ以降は自分もゆうちょ銀行で毎月口座振替をしています。
楽天銀行・PayPay銀行はPay-easy(ペイジーによる電子納税)が使えますが
- 毎月自分で手続きをするのが面倒
- 納付漏れリスクあり
とイマイチなので、全自動の口座振替は本当に助かります。
2.全国にリアル店舗・ATMがある
何かあったら近所のゆうちょ銀行に行けばいいのと、ATMもたくさんあるので便利ですね。
例えばゆうちょ銀行で法人税の納税もできます。
所得税には振替納税がありますが、会社が払う税金(法人税・法人住民税・法人事業税)にはありません。
窓口で納税が必要です(年1~2回のことなのでこれが1番簡単です)。
また、ふつうの銀行窓口の営業時間は平日15時までですが、ゆうちょ銀行は平日16時までやっているのも地味にメリットです。
ファミリーマートなどコンビニでも無料で引き出せる時間帯があるので確認しておくとよいでしょう。
公式>>ゆうちょ銀行のキャッシュカードを使ってコンビニのATMで払い戻した場合、手数料はいくらかかりますか。
3.ネットバンキングの月額利用料が無料
個人口座だと無料が当たり前ですが、法人口座だと有料になっているところが多いです。
- メガバンク
- 地方銀行
- 信用金庫
などは、月額利用料だけで1,000円以上とられることもあります。
例:三菱UFJ銀行

ほとんど取引をしないマイクロ法人にとって、余計なコストだけかかるので無意味です。
一方、ゆうちょ銀行(ゆうちょダイレクト)は無料です。

※有料サービス(ゆうちょBizダイレクト)もありますが、マイクロ法人には不要です。
クラウド会計ソフトで連携して自動的に仕訳にできるので、無料で使えるほうがうれしいですね。
〈私が使っている会計ソフト〉
- 個人事業:マネーフォワード確定申告
- 会社:マネーフォワードクラウド会計
4.個人口座と無料で振り込みができる
ゆうちょ銀行からゆうちょ銀行への振込みなら、振込手数料も月5回まで無料(6回目以降は100円)です。
例えば役員報酬を支払う場合、ゆうちょ銀行(法人口座)からゆうちょ銀行(自分の個人口座)に無料で振込みができます。
また、支払う相手が「個人」ならたいていの人はゆうちょ銀行の口座をもっています。
口座の指定がなければ、相手のゆうちょ銀行口座に振り込めば手数料無料です。
※振込手数料はネット銀行の方が安いので、併用がベストです。
5.証券口座への入出金も対応
最後に証券口座の入出金です。
ゆうちょ銀行と相性がいいです。
<楽天証券>
- 入金:リアルタイム入金に対応(ゆうちょダイレクト)
- 出金:出金口座として指定できる
<SBI証券>
- 入金:振替入金に対応(事前申込みが必要)
- 出金:出金口座として指定できる
楽天銀行、住信SBIネット銀行の法人口座がなくても手数料無料で入出金ができるので便利です。
なお、すべての証券会社で対応しているとは限りません。
マイクロ法人で株式投資を考えている場合は、あらかじめ自分が使いたい証券会社でご確認ください。
関連>>【ひとり会社設立体験談】証券口座は楽天証券・SBI証券がおすすめ。個人口座との違いを比較してみた。
ゆうちょ銀行のデメリットは?
ここまでメリットを5つ紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。
ただ、個人事業主とマイクロ法人の二刀流の場合、特に問題になることがありません。
(1) 預けられる上限がある
ゆうちょ銀行は
- 通常貯金1,300万円
- 定期性貯金1,300万円
という預入限度額があります。
ただ、二刀流なら会社に多くのお金は残らないはずなので問題ありません。
十分すぎる金額でしょう。
もしお金がたくさん会社に残るとしても、証券口座に移して運用すればいいだけのことです。
- ゆうちょ銀行:必要最低限のお金(例:100万円)
- 証券口座:それ以外のお金
(2) 倒産防止共済(セーフティ共済)に対応していない
倒産防止共済をしたい場合にゆうちょ銀行は使えません。
これはネット銀行も同じです。
金融機関については、ゆうちょ銀行、農業協同組合、労働金庫、新生銀行、あおぞら銀行、外資系銀行、インターネット専業銀行等は、経営セーフティ共済をお取扱いしておりませんのでご注意ください。
出典:加入窓口|経営セーフティ共済(中小機構)
ただ、マイクロ法人はそもそも大きな利益を出して節税するのが目的ではないので、特に問題ありません。
法人成りをしてガンガン稼ぐ場合は、地方銀行や信用金庫など、ゆうちょ銀行・ネット銀行以外の銀行口座を用意しておきましょう。
関連>>【倒産防止共済】銀行融資を考えるなら「資産」にするのがおすすめ
(3) 法人への融資がない
マイクロ法人で融資をして不動産投資をやりたい場合はデメリットですね。
他の銀行口座を作りましょう。
不動産投資をやらないなら、これまた特に問題ありません。
口座開設を断られる場合もありうる
さて、メリット・デメリットをまとめましたが、最大のハードルは口座開設できるかどうかです。
事業の実態が怪しい会社の場合、審査が通らず断られる可能性があります。
「ゆうちょ銀行で口座開設できなかった!」という声も聞くので
- 資本金を少なすぎないようにする(100万円未満はキツい)
- 事業目的が怪しくならないようにする(株式投資しかないのはキツい)
と会社に実態がある点を主張できるようにしておきましょう。
関連>>【ひとり会社設立体験談】資本金はいくら必要か?少なくしすぎて失敗した話
どうしても通らない場合は
- ネット銀行(例:PayPay銀行)
- 信用金庫、地方銀行
で口座だけ開設して、しばらく事業をしてから、またゆうちょ銀行にトライするのも1つです。
最後に
今回はマイクロ法人(特に個人事業主と二刀流をする場合)のおすすめの銀行口座として、「ゆうちょ銀行」を紹介しました。
<おすすめする5つの理由>
- 社会保険料の口座振替が可能
- 全国にリアル店舗・ATMがある
- ネットバンキングの月額利用料が無料
- 個人口座と無料で振り込みができる
- 証券口座への入金も対応
既にネット銀行で口座開設したけど
「社会保険料の口座振替ができなくて毎月めんどくさい!」
という人は、ゆうちょ銀行もいかがでしょうか。
関連>>【ひとり会社設立体験談】銀行口座をメガバンク、地方銀行、信用金庫、ゆうちょ、ネットバンクで作った感想