今回は「税引き前のお金」と「税引き後のお金」の話です。
節税をしたい方にとっては、とても重要な話です。
『金持ち父さん 貧乏父さん』に次のような言葉が出てきます。
会社を持っている金持ちは
1 稼ぐ
2 お金を使う
3 税金を払う会社のために働いている人々は
1 稼ぐ
出典『金持ち父さん 貧乏父さん』
2 税金を払う
3 お金を使う
私はこれをベースにして、次のように考えます。
社長は、税引き前のお金を使う。
- 会社で稼ぐ
- 税引き前のお金を使う
- 税金を払う
これは個人事業主・フリーランスも同じです。
会社員は、税引き後のお金を使う。
- 給料を稼ぐ
- 税金を払う
- 税引き後のお金を使う
ただ、順番が違うだけのように見えますが、全然違います。
では、具体的に見ていきましょう。
社長は「税引き前のお金」を使う。
『金持ち父さん 貧乏父さん』 では「会社を持っている金持ち」と表現されていましたが、この記事では社長とします。
<社長の場合>
- 会社で稼ぐ⇒売上500万円
- 税引き前のお金を使う⇒経費100万円
- 税金を払う
売上のうち経費になった100万円の部分には、税金も社会保険料もかかりません。
これが税引き前のお金です。
会社員は「税引き後のお金」を使う。
一方、「会社のために働いている人々」=会社員の話は違います。
給料総額が年収500万円の方は、500万円をそのままもらって使えるでしょうか?
使えませんね。
理由は、給料から税金と社会保険料が天引きされるからです。
一般的には給料の2割前後が天引きされます。
<会社員の場合>
- 給料を稼ぐ⇒年収500万円
- 税金と社会保険料を払う⇒約100万円が天引き
- 税引き後のお金(手取り400万円)を使う
会社員は手取り、つまり「税引き後のお金」を使って支払います。
お金を使う前に、既に使えるお金が減っているのが会社員です。
「会社員は税金を先に払い、社長は税金を後に払うか、そもそも払わない」
とも言えます。
セミナー代はどのお金で払う?
例えば会社の事業や自分の仕事に関するセミナーの参加費を払うとします。
- 社長:税引き前のお金⇒セミナー代
- 会社員:税引き後のお金⇒セミナー代
からそれぞれ出します。
社長は「税引き前のお金」で払います。
<社長の場合>
- 売上1万円-セミナー代1万円=0円(税金も社会保険料もかからない)
セミナーの参加費が1万円なら、会社の売上1万円と相殺できます。
一方、会社員は「税引き後のお金」で払います。
<会社員の場合>
- 給料:1万2,500円
- 税金・社会保険料:2,500円(約2割を強制的に天引き)
- 給料手取り(1万2,500円-2,500円)-セミナー代1万円=0
自分でセミナーに参加する場合は、税金・社会保険料を引いた手取り1万円からセミナー代を払います。
そのためには1万円を超える給料が必要になります。
会社員には給与所得控除があるけど?
「会社員は給与所得控除があるので、その範囲内なら税金がかからないじゃないか」
という反論もあると思います。
その場合でも
- 社会保険料の天引きは発生する
- 社長も役員報酬に対して給与所得控除がある
ので、給与所得控除があるからといって、対等ではないと考えます。
社宅家賃の破壊力
「今回の話は事業で経費になるものしか関係ない話では?」
という反論もあると思います。
そうでないものとして「家賃」があります。
会社がアパートを借りて、そのアパートを社長に貸します(社宅)。
一般的には会社が家賃の5~8割程度を負担し、社長が残り2~5割を負担します。
会社員が税引き後のお金から家賃を払うのと比べると、インパクトが大きいです。
社宅の詳細は、別の記事で書きます。
会社員も副業で「税引き前のお金」が使える
会社員でも「税引き前のお金」が使える方法があります。
それが副業です。
アフィリエイター、YouTuber、ライターなど事業所得・雑所得になる副業です。
不動産投資(不動産所得)でも使える場合があります。
※コンビニのアルバイトなど給与所得になる副業は会社員の給料と同じなので使えません。
例えば、副業で売上を得るために必要なセミナー代は、税引き前のお金から支払うことができます(経費になる)。
<会社員の副業の場合>
- 売上を稼ぐ1万円
- 税引き前のお金を使う⇒セミナー代1万円
- 売上1万円-セミナー代1万円=0円(税金も社会保険料もかからない)
ひとり社長兼個人事業主が節税に強い理由
最後にひとり社長兼個人事業主が節税に強い理由を書いておきます。
- ひとり社長:税引き前のお金で経費が払える
- ひとり社長:役員報酬に給与所得控除がある
- 個人事業主:税引き前のお金で経費が払える
- 個人事業主:青色申告特別控除がある
会社と個人事業、両方運営する手間が発生しますが、選択肢はかなり広がります。
一方、会社員にあるのは給与所得控除だけです。
副業をして税引き前のお金という選択肢を増やしたいところです。
関連>>【節税対策】ひとり社長兼個人事業主は、給与所得控除と青色申告特別控除の両方が使える。