マイクロ法人

【マイクロ法人】税理士と会計法人|税理士報酬が不要というメリット

税理士とマイクロ法人

税理士は

  • 個人事業主(税理士事務所)
  • 会社(会計法人)

の二刀流をしている人たちが昔からいます。

※その会社をどう呼ぶかに決まりはありませんが、「会計法人」という名前を聞くのでこの記事では会計法人と呼ぶことにします。

注:この記事の著者は税理士ではありません。

ふつうの個人事業主・フリーランスがマイクロ法人を作るときにデメリットになるのが維持コストです。

自分でできなければ毎年の「税理士への報酬」が発生しますが、自分が税理士なら当然不要です。

報酬は人それぞれだと思いますが、年間10万円~50万円くらいが節約できます。

また、会計ソフトや税務申告ソフトも税理士の仕事でふつうに使っているので、追加で買わなくてもなんとかなる人も多いでしょう。

というわけで、個人的な感想としては

マイクロ法人と税理士ってコスト面で相性抜群だな

です。

さて、ここからはマニアックな話なので、興味がある人だけどうぞ。

  1. 税理士法人の歴史がまだ浅い
  2. 税理士法人は税理士が2人以上必要
  3. 税理士法人は無限連帯責任

税理士法人の歴史がまだ浅い

会計法人は株式会社または合同会社で作りますが、税理士は「税理士法人」という特別な法人を作ることもできます。

税務相談、税務申告書の作成の代行など、税理士の仕事(税理士業務)はタダでも税理士以外ができないと厳しく決まっています(無償独占)。

その税理士の仕事が法人でもできるのが税理士法人です。

しかし、80年続く税理士制度に対して、税理士法人自体の歴史はまだ浅く、平成13年(2001年)の税理士法改正で創られたのでまだ20年です。

税理士として登録している人は約8万人、税理士法人は5千弱あるようです。

出典:日本税理士会連合会「税理士登録者・税理士法人届出数(令和4年6月末日現在)

それまでは税理士=「個人事業主」だったので、そもそも法人を作りたくても作ることができなかったわけです。

そこで選択肢として株式会社などで税理士事務所とは別に会社を作り、税理士しかできない仕事(税理士業務)以外の仕事を会社で行います。

(例)

  • 記帳代行
  • コンサルティング
  • 講演会・セミナー講師
  • 原稿執筆
  • 保険代理店

会社を別に作ることで節税や社会保険料節約の選択肢が増えるメリットがあります。

ふつうは「個人事業主」と「会社」の2つの経理・決算・税務申告をするのは大変ですが、そこは税理士なので特に問題ないところです。

税理士法人は税理士が2人以上必要

税理士法人ができても「会計法人」が作られるのは、税理士が2人以上必要な税理士法人のハードルにあります。

つまり、1人では税理士法人が作れません

  • 親子税理士の税理士法人
  • 夫婦税理士の税理士法人

という場合を除けば、基本的には他人同士で作ります。

  • ボス税理士と部下税理士の税理士法人
  • 大手フランチャイズの税理士法人 など

そのため

「ひとり税理士でやっていきたい」

という人には微妙でしょう。

他の士業法人はほとんどが「一人法人」OKの時代です。

(例)

  • 社会保険労務士法人
  • 弁護士法人
  • 司法書士法人
  • 行政書士法人
  • 土地家屋調査士法人
  • 弁理士法人

※上場企業を監査する監査法人(公認会計士)は5人以上

士業法人は旧商法時代の合名会社をモデルにしていますが、合名会社がその後、1人でもOKになった動きとそろえていきています。

一方、税理士法人は今のところ「一人税理士法人」が認められる様子はありません。

税理士法人が作られた趣旨が

2人以上の税理士で共同して税理士業務をがんばって納税者の期待に応えてね」

なので、今後もムリかもしれません。

税理士業務の共同化を促すことは、複雑化・多様化、高度化する納税者等の要請に対して、的確に応えるとともに、業務提供の安定性や継続性、より高度な業務への信頼性を確保することが可能となり、納税者利便の向上に資するものであること

出典:国税庁「1 税理士法人制度創設の趣旨等

税理士法第48条の2(設立)
 税理士は、この章の定めるところにより、税理士法人(税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人をいう。以下同じ。)を設立することができる。

税理士法人は無限連帯責任

もう1つ税理士法人のデメリットとして、無限連帯責任があります(合名会社がモデル)。

2人のうち「もう1人の税理士」がミスして多額の賠償責任を負った場合、自分が直接何もしていなくても責任を負います。

当然、そうならないように仕組みを整えるべきですが

  • 親子・夫婦という関係性で作る
  • 他人同士で作る

のとでは、リスクの度合いが違います。

監査法人は「有限責任監査法人」という「有限責任」の法人形態が登場しましたが、税理士法人ではこちらも今のところなさそうです。

事務所を拡大するならともかく

「自分の目が届く範囲でやりたい」

という職人的な人なら、余計に税理士法人より個人事務所が向いているように思います。

最後に

マイクロ法人と税理士ってコスト面で相性抜群だな

という話をするつもりが、いつの間にか

税理士法人がひとりで税理士をやりたい人にいかに合わないのか

という話になりました。

今後も個人事業主&会計法人を選択する人はいなくならないのでは、と思うところです。

<本の紹介>

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