税金のルール(=税制)は、毎年の「税制改正」で決まります。
税制改正は毎年同じような流れで行われ、特に12月の「税制改正大綱(たいこう)」でほぼ内容が決定します。

- 8月「要望」→各省庁がやりたいこと(すべて通るわけではない)
- 12月「大綱」→基本すべて通るのでここだけでも見てほしい
- 1~3月「法案」→国会に提出されて内容を議論
- 4月「法令」→原則として4月から税金のルール変更
税金はすべての人に何らかの形で関係します。
- 会社員や個人事業者→所得税がどうなる?
- 会社経営者→法人税がどうなる?
- 株式投資家→金融証券税制がどうなる?
- 家を買う人→住宅の税金はどうなる?
など気になるところだと思います。
自分は個人事業者、会社経営者、株式投資家でもあるのでとっても気になります。
というわけで今回は、税制改正の流れ(スケジュール)をご紹介します。
政権交代でもしない限り、パターンは毎年同じです。
税金に関するニュースを見るときの参考にしてみてください。
公式>>財務省「税制改正の概要」
8月:税制改正要望

毎年8月末には、各省庁が財務省と総務省に対して「税制改正要望」を提出します。
- 「国税」に関する要望→財務省に
- 「地方税」に関する要望→総務省に
この段階では、あくまで各省庁が「やりたいこと」を言っているにすぎません。
その後の議論で落とされることもよくあります。
それでも次の3つの省庁の要望は話題になりやすいのでチェックしておきましょう。
- 経済産業省:法人税
- 金融庁:株式関連の税金
- 国土交通省:不動産関連の税金
12月:与党税制改正大綱

税制改正の本命が与党が公表する「税制改正大綱」です。
忙しい人は、12月中旬の与党の税制改正大綱に関するニュースだけでも追いかけてください。
政府の税制調査会
まず11月(早ければもっと前)から12月にかけて「政府の税制調査会」が中長期的な税制のあり方を検討します。
「将来の税金のルールはこうした方がいいよね」
とふんわりしていて、どちらかというと「数年先の税制改正」で具体的に議論される内容です。
与党の税制調査会
それと並行して11月中旬から12月中旬の実質1か月弱の中で、「与党の税制調査会」が具体的な税金のルールの変更案を出します。
こっちが本命です。
目の前の税金のルール変更は与党の税制調査会がかかわっています。
12月中旬から年末にかけての与党の「税制改正大綱」に関するニュースを確認しましょう。
大事なのは
- 何が変わるのか
- いつから変わるのか
の2つです。
大綱は法律でも何でもありませんが、日本では不思議(!)なことに大綱に書かれたことがそのままそっくり、法律案にとけこみます。
そのため、12月の段階で来年度に行われる税制改正の内容がわかります。
1~3月:税制改正法案

年が明けて1月末から2月頭のあたりで、税制改正に関する法律案が国会に提出されます。
12月の税制改正大綱の時点で既に決まっているので、ひっくり返ることも基本ありません。
法案は国会で審議されて、3月下旬に確定(成立&公布)します。
国会で成立・公布された法案は正式に「法律」になります。
また、同時に政令・省令と呼ばれる税金に関する細かいルールを決めたものも公表されます。
法律・政令・省令を合わせて「政令(せいれい)」と呼びます。
<所得税の場合>
- 法律:所得税法
- 政令:所得税法施行令
- 省令:所得税法施行規則
4月:税制改正法令

税金のルール変更は、原則として4月からスタートします(特に法人税)。
ただし、所得税のように1月1日から12月31日までを単位にしているなど、4月1日だとうまくいかないものは、例外的に「翌年1月1日」など別の日からスタートします。
これは制度ごとに異なるので、1つ1つについて
- 何が変わるのか
- いつから変わるのか
の2つの情報を再確認しましょう。
最後に
今回は、税制改正の流れについてご紹介しました。

- 8月「要望」→各省庁がやりたいこと(すべて通るわけではない)
- 12月「大綱」→基本すべて通るのでここだけでも見てほしい
- 1~3月「法案」→国会に提出されて内容を議論
- 4月「法令」→原則として4月から税金のルール変更
テレビ・新聞・SNSで税金に関するニュースが多くなるのは8月、12月、4月です。
- 8月:様子見
- 12月:ガッツリ確認
- 4月:何がスタートするか再確認
というスタンスで情報収集してみてください。
<本の紹介>
税金の基本中の基本を知りたい人は、漫画で読めるこの本からいかがでしょうか。